父の日イメージ

結果的に私にも父にもサプライズとなった父の日の贈り物

父の日と言うと、結果的に思いがけない形でプレゼントを贈ったことを思い出します。
その始まりは10年ほど前の春になります。
当時、東京で暮らす私に父から電話がかかってきました。
その内容とは「そば打ちを始めたいから合羽橋へ行って道具一式を買って来てくれ」というものでした。
もし、父が料理をしたこともない人だったら驚いたと思うのですが、父は昔から料理が好きで凝り性でした。
中華や洋食なども作ってくれたし、パン作りなども一緒にしたのを覚えています。
そんな父なので、電話を受けた時は大した驚きはしませんでした。
むしろ「ついにそば打ちに挑戦する気になったんだ」と素直に感心したほどです。
確かに、そば打ちを始めるにも父の住む実家は地方の田舎町で、そのような専門的な道具は売っていません。
ネット通販という手がありましたが。
当時の父はパソコンを持っていませんでした。
恐らく、あれこれ考えた末に私に電話をかけてきたというわけです。
私が何度か仕事と趣味を兼ねて合羽橋へ行ったという話しを覚えていたようです。
しかし、当時は仕事が忙しい上、せっかくの休みに合羽橋まで出かけるというのがどうにも億劫でした。
そのため、父の依頼には「じゃあ、その内ね」と曖昧な返事で終わってしまいました。
その後、忙しかったこともあって電話のことを忘れていたら、しばらくして父から催促の電話がかかって来てしまいました。
しかし、まさか忘れていたとは言えず、「今、探している最中だからもう少し待って」とすかさず取り繕ったのを覚えています。
そして、そこから私のそば打ち道具一式探しが始まりました。
合羽橋に行くかは迷ったのですが、情報収集も兼ねてまずはインターネットで探しました。
するとすぐに初心者向けにそば打ち道具のセットが販売されていることを知りました。
これだと思い、幾つかのショップの価格やセット内容を比較し、あるショップに注文を出しました。
その時に父への贈り物だということも知らせてありました。
こちらの都合で遅れたお詫びもあったし、大した金額のものでもなかったので、その時は父へのささやかなプレゼントのつもりでした。
その後、ショップからは贈り物の件を了承したことと取り寄せ商品なので発送に時間がかかるという連絡が来ました。
私は品物さえ手配できればあとはいつ届いてもいいと思っていたので、注文後は気に留めることもないままになっていました。
そして、6月に入って少しすると再び父から電話がかかってきました。
「父の日のアレ、ありがとうな」と非常に喜んでいる様子でした。
私としては何かを贈った記憶がないので戸惑っていると、「そば打ちの道具と一緒に、娘さんからお父さんへのプレゼントですって立派なカードが入ってたぞ」と父が言いました。
そこで初めて父の上機嫌の理由が分かりました。
私はメッセージカードを希望したわけではなかったのですが、ショップの方が気をきかせて入れてくれたカードが父の日が近かったこともあって、父にも、そして贈った私にも思いがけない父の日の贈り物となったのです。
もちろん、この贈り物が偶然によるものだということは今も父には内緒です。
父は今でもこの時に贈った道具を愛用し、帰省すると必ず自慢の手打ちのそばを打ってくれます。
腕前は持ち前の凝り性のおかげで年々上達し、それが帰省の楽しみの1つにもなっています。
この前の帰省の時、そばを切りながら新しいそば切り包丁が欲しいと言っていたので、来年の父の日には少し高いそば切り包丁をプレゼントしようかと考えています。

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