父の日イメージ

父の日は一年でたった一度だけ父がオシャレになる日

私の父は大学生の頃から学習塾を営んでいます。
まだ大学生の頃は小さなアパートの一室で、昔の寺子屋のようなことをしていたそうです。
父が大学生の頃は、ちょうど学生運動が盛んな時期で、大学に行ってもほとんど休校状態で講義がなく、仕方なく余った時間を有効活用するために私塾を始めたのです。
ところが父は元来教育熱心で熱血漢な性格の人間でしたから、生徒にマンツーマンで体当たりするように指導し、メキメキと成績を上げて行ったのです。
それが評判になり、口コミで生徒数がどんどん増え、結局父は大学を卒業後、企業に就職せずにアルバイト感覚で始めた学習塾の経営を本職にしてしまったのです。
母とは大学生の頃に知り合って、一目惚れした父は母に告白したのですがあっさりと振られたそうです。
しかし、それから約10年が経った頃、二人は偶然再会し、お互いにまだ独身だったので、父は玉砕覚悟で二度目の告白をしました。
そうしてようやく父の想いは実を結び、二人は結婚したのです。
その頃、父の塾の規模はますます拡大する一方で、すでに生徒数は100人を超え、アパート一室だったのがワンフロア全てを借りて授業を行っていました。
母と結婚して強力なパートナーを得たことでさらに事業は拡大し、ついには自社ビルを建てるまでに至り、バブルの時代には生徒数600人を誇る地域最大の学習塾に成長し、それは贅沢な暮らしが出来るようになったのです。
しかし、父は学生時代に貧乏だったからか、それとも元々関心がないのか、おそらく両方だと思いますが、とにかく着るものに頓着しない人間なのです。
ですから、どんなにお金持ちになってもジャージや毎日同じセーターにジーンズ姿で教鞭をとっているのです。
そんな父ですが、一年間で一日だけ、オシャレになる日があります。
それが父の日です。
毎年、我が家では父の日には二人の祖母と母、それに私のわずかばかりのお小遣いを合わせて、Yシャツとスーツを仕立てて父にプレゼントすることになっているのです。
今ではもう祖母は亡くなっていますから、母と私の二人だけになりましたが、それは今でも続いています。
毎年恒例でつまらないかもしれませんが、プレゼントを受け取った父が見せる恥ずかしそうな、嬉しそうな照れた笑顔は、いつまでも少年のようでとても微笑ましく、プレゼントした私たちも心が温かくなるのです。

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